DeFiの新型スキャム “ソフト・ラグ”
DeFiに詳しい人間なら誰しも、rug pull (ラグ・プル) という言葉は聞いたことがあるだろう。これは、開発者がプロジェクトを捨て、投資家のトークンや資金と共に失踪するスキャムのことである。しかし今回はスキャムのルーキー “soft rug(ソフト・ラグ)” を紹介する。
この新種のスキャムはとてもシンプルだ。プロジェクト創業者はユーザー資産に手をつける代わりに、自分で発行トークンをマーケットに売り浴びせてエグジット。オープンファイナンスにおける新しい ”ラグ” である。
プロトコルの救済
ハッキングしなくてよい分、ソフト・ラグは “便利” に利用される。開発者は単にトークンを売りさばいてからプロジェクトを畳むのみ。匿名開発者は自分の評判を犠牲にすることもない、というボーナスもついてくる。
今週ではDeFiコミュニティのメンバーの中で、Venusを開発した Swipe によるソフト・ラグの可能性が話題に上がっている。Venus は Binance Smart Chain の No.3 に挙げられるレンディングプロトコルで、総額約10億4400万ドルの資金がそこにロックされている。しかし2日前、設立チームはこのプロトコルから手を引くことを発表した。ブログには、”5月に起こった債務超過の危機の後に、Swipe チームは Venus から撤退した” と書かれている。5月にプロトコルの債務超過を引き起こしたのは、プロトコルでの清算の連鎖だった。
噂
Monetsupply.eth はTwitterにて、「バイナンスの大きなプロジェクトである VenusProtocol のコアチーム(Swipe)はソフト・ラグを引いたのではないか。レンディング・プロトコルにとって、健全なガバナンスは全て、というより唯一絶対のものだ」 とチームを非難した。
Danny と名乗る Venus の新しい Global Community代表者は、この疑惑に対して反論した。ソフト・ラグ疑惑について、彼は The Defiant に「根も葉もない噂だ。彼ら(Swipeチーム)は自身のトークン(実際にはコミュニティ所有)を全て暫定協議会に差し出した」と話した。
“Polywhale Rugged”
Dannyは「彼らはトークンを使ったことも売ったこともないし、そもそも彼らのものでもない!」と断言した。
この Venus のエピソードは、2日前に Polywhale の開発者が自身のイールドファーミングプロジェクトをソフト・ラグしたことに端を発している。彼らの Telegramチャンネルは “Polywhale Rugged” という奇妙なタイトルになっている。Polycash と Polsa Finance もここ1週間でソフト・ラグを引いたようである。
DeFiでのソフト・ラグがこれほどまでに乱発したことに特に驚きはない。多くのトークンは先週だけで25%下落し、依然としてベア・マーケットである現状では、多くのトークン保有者の握力は衰えているのだ。